「環境に配慮した企業としてのイメージづくり」
PRTR
データ公開に対するリスクコミュニケーションの準備は完璧ですか?
■PRTRデータの公開
2001年4月1日から実施されたPRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register :化学物質排出移動量届出制度)は、人の健康や生態系に有害性が指摘されている化学物質について、環境中への排出量と廃棄物に含まれての移動量を事業者が自らが把握して行政庁に報告するもので、御社も届出をされたと思います。このデータが今年3月20日より公開されました。公開されたデータは、都道府県別や業種別の集計データの他に、各事業所が届け出たデータそのものである個別事業所データが含まれています。個別事業所データは開示請求に応じて開示されますが、開示請求は誰でも可能で、実際には無条件に配布されているといえます。
■地域との相互理解
平成13年9月に内閣府が実施した「国民生活モニタ調査」によれば、市民が求める「企業の社会的責任」として環境保護を挙げる回答が65.9%あり、「企業が社会的信用のために力を入れるべきこと」の回答の1位は環境保護で70.5%に達しています。このように企業の環境への配慮は強い関心を持って見られています。そのために、化学物質の排出量が公表された現在、地域住民等が公表された数字に対して適切な理解がなされるかは企業経営にとっても重要なことになります。
「危険の程度」、「危険の可能性」これらリスクのうち、特に「危険の可能性」のリスクは、人間の心理的な面からくる不安感であり、その形成は技術的安全性とは別次元のところで働いています。ところが、この不安感は企業イメージを低下させ、企業の広報費用を増大させるばかりでなく、市場における不買運動、資金調達への影響、社員のモラールの低下などの弊害につながることにもなりかねないものです。
■リスクコミュニケーションと説明資料
化学物質などによる環境汚染が、人の健康や生態系に好ましくない影響を与えるおそれを環境リスクと呼びます。化学物質の環境リスクを正しく評価し、専門的な内容をわかりやすく解説して、適切な情報を提供することをリスクコミュニケーションと言います。このリスクコミュニケーションの取組みが企業にとって必要な時代になってきました。
リスクコミュニケーションを行う上で、特に配慮すべきなのが説明資料です。この化学物質の排出量がどれだけで、今後どの程度まで削減するかという説明を行っても、それが人の健康にどの程度の影響を削減することになるのかを説明するものでなければ、地域住民を納得させることは無理でしょう。環境リスクを評価するには、大気中の濃度への影響を示し、それによって人が摂取する量を検討する必要があるからです。
現在、特定の物質については、大気中の濃度からガン発生の確率へ換算を行う係数が示されています。また、有害大気汚染物質に該当する可能性がある234物質の内、優先取組み物質とされる物質についての大気中濃度の基準を、リスクをベースにして定めることが中央環境審議会で決定されました。
このようなことから、少なくとも企業としては、各事業所の化学物質の排出量を大気汚染濃度にした情報を持って、説明ができるように備える必要があると言えます。
■DataFusion
環境影響評価システムDataFusionは、排出量から大気中濃度を推定する拡散シミュレータとして米国環境保護庁で指定されているISC3モデルと、経済産業省が開発したMETI-LISを使用するこができるソフトで、地図や航空写真などを組み合わせることによって、状況を判りやすく説明するのに優れています。
操作はいたって簡単で、パソコンに慣れている方であれば、1日程度で修得していただけます。大気拡散のシミュレーションに不安がある場合には、弊社の専門家がサポートいたします。また、シミュレーション解析を弊社で廉価に実施することもさせていただきます。